真空度とは 5種類の真空と真空技術に護られている日常を知る

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真空度とは 5種類の真空と真空技術に護られている日常を知る

真空度とは何かと問われたときに、即座に答えられる方がどのくらいいるのでしょう。

真空パックや真空包装などが日常に浸透している反面、一般の方の真空に対する理解は進んでいない現状があります。

この記事は「真空とは」の問いへの答えはもちろん、5種類の真空と日常に深く浸透している真空技術について解説します。

記事を読むと、真空に対する理解が深まり、真空業界への期待が高まるでしょう。

真空度とは 5種類の真空と真空技術に護られている日常を知る

真空度とは真空状態を表す圧力単位

真空度とは、真空の程度を表す圧力単位です。

一定の空間内に残存する気体の圧力によって表されます。

真空度を表す単位として最も用いられるのはPa(パスカル)であり、絶対圧力の単位としてTorr(トル)、そのほかにbar(バール)・mmhg(水銀柱ミリメートル)があります。

標高と真空度との関係とは

真空度についてよりわかりやすく解説するために、標高と気圧、真空度・酸素濃度を1つの表にしました。
以下、参照ください。

標高 真空度 気圧 酸素濃度 高さの目安
0m        0kPa  1013hPa 100% 海抜0m
333m 4kPa  979hPa~ 97% 東京タワー最上部
3776m 38kPa 654hPa~ 64% 富士山頂

真空度表示は大気圧基準と絶対圧基準の2通りあり、用途によって使い分けられます。

標高が高いほど酸素濃度が低くなり、真空度が増します。

真空度の数値エリアによる分類|5種類の真空とは

真空とは、大気圧より低い圧力の気体で空間が満ちている状態です。
大気圧は通常100,000Paあり、通常を下回る状態はすべて真空状態に該当します。

真空状態は圧力レベルに応じて5段階に分けられます。
具体的には以下のとおりです。

1.低真空
2.中真空
3.高真空
4.超高真空
5.極高真空

それぞれについて解説します。

低真空とは飛行機の飛ぶ成層圏あたりの圧力

飛行機の飛ぶ10~50Km範囲の空気圧力に匹敵する状態が、低真空です。
具体的には、10⁵Pa~10²Paの圧力です。
ちなみに、10⁵Paは通常の大気圧力になります。

低真空状態で物質的な性質はほとんど変わりません。
低真空技術は樹脂の真空成型や、大気圧との差を利用した吸着による真空パックなどに活用されています。

中真空とは地上から60~90kmの圧力

10²Pa~10⁻¹Pa(100Pa未満,0.1Pa以上)の圧力が中真空です。
中真空の状態にまでくると、標準気圧と違いが顕著に現れます。

なぜなら、中真空領域ではクヌーセン数が1を下回るためです。
クヌーセン数とは、流体力学の無次元量の1つです。
連続体であるかどうかを判断するために用いられます。
クヌーセン数が1未満の場合は連続体です。

高真空とは地上から90~250kmの圧力

真空度10⁻¹Pa~10⁻⁵Paの範囲の圧力が高真空に該当します。
圧力の強さは、地上からは約90~250km離れた距離の成層圏の先にある熱圏の圧力と同程度です。

高真空技術は、食品や医薬品の真空凍結乾燥、電子部品・半導体製造などに用いられる成膜装置などに生かされています。

超高真空とは地上から250㎞以上の圧力

超高真空は、真空度10⁻⁵Pa~10⁻⁸Paの範囲の真空度です。
圧力は地上からの距離およそ250㎞相当、人工衛星や国際宇宙ステーションなどのある宇宙空間レベルです。

超高真空の真空度10⁻⁵Pa~10⁻⁸Paは、現時点での真空技術における実用化の限界値といわれています。
スペースチャンバーによる熱空間試験、電子線や分子線の研究などに使用されています。

極高真空とは地上から400㎞~の圧力

真空度10⁻⁸Pa以下を極高真空と呼びます。
目安としては、地上から400㎞ほどの圧力に相当します。

1990年代から研究が進み、10⁻⁸Pa以下の真空度を作り出す真空ポンプや計測器が開発されてきました。

しかしながら、工業的な実用化には至っていないのが現状です。
今後への期待が高まります。

真空技術は真空パックやエコカー・スマホなどに生かされている

真空技術は日常生活のあらゆるシーンに生かされています。
以下、代表的な活用例を列記します。

・エコカーや家電製品・スマホなどの電子部品における薄膜
・食品の真空パックやフリーズドライ
・歯科医療の唾液の吸引
・魔法瓶の真空部
・掃除機
・二重ガラス
・チョコレート
・醤油さし

もはや、私たちの生活は真空技術なしでは成り立たないといっても過言ではありません。

真空ポンプとは用途に応じて真空度を調整する道具

真空度を作り出す装置として開発されたのが真空ポンプです。
真空ポンプには下記のような種類があります。

・油回転型真空ポンプ(ロータリーポンプ)
・ドライポンプ
・メカニカルブースターポンプ
・ダイアフラム真空ポンプ

これらの真空ポンプを用いて5段階すべての真空度を作り出せるわけではありません。
しかしながら、異なる真空ポンプを組み合わせて排気速度を速めることは可能です。

生活のあらゆるシーンに活躍している真空技術ですが、極高真空のエリアはまだ実用化されていません。
真空ポンプの開発と共に大いなる期待が寄せられています。

まとめ

真空度とは大気圧以下での真空の圧力単位をいいます。
その数値によって5段階に分けられ、日常生活のあらゆる場面に用いられてきました。

代表的な用途としては、食品でおなじみの真空パック、オーディオや電球の真空管、スマホの半導体部分、その他エコカーなどがあります。
例示すると、もはや私たちの生活は真空技術なしに成り立たないと気づかされます。

真空ポンプを始めとした真空技術は今後も発展し、私たちの日常をより便利に、より豊かにしてくれるでしょう。
本記事が「真空度とは」の疑問への解消となれたとしたら幸いです。

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