給水加熱器の使用用途と仕組みを分かりやすく紹介 

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給水加熱器の使用用途と仕組みを分かりやすく紹介 

「給水加熱器」とはどんなものか知っていますか?
あまり馴染みがないかも知れませんが、給水加熱器は発電所で使われている設備です。

本記事では「給水加熱器」とは何か、仕組みから用途までを紹介します。
プラント設計を専門用語を使わず、わかりやすく解説するので、あまり知らない方もぜひご覧ください。

給水加熱器の使用用途と仕組みを分かりやすく紹介

わかりやすく給水加熱器を紹介

給水加熱器とは、ボイラーへ給水する水を加熱する熱交換器です。
主に発電所で利用されています。

熱交換器は「温かい」から「冷たい」へ熱を移すもので、給水加熱器もその一つとなります。

ボイラーの「抽気タービン」から外部に取り出した蒸気の一部を利用して給水される水を加熱するのが特徴です。

「抽気」とは、タービンで膨張途中の蒸気を一部だけ外部に取り出すこと、または、取り出した蒸気を指します。

設置すると、抽気(抽気された蒸気)によりボイラーに給水される水の温度が高くなるので熱効率がよくなるのがメリットとなります。

一方で、給水加熱器は大きな設備になってしまうので設置スペースが必要です。
設置スペースを確保できない場合には導入が難しいのはデメリットになります。

仕組みはどうなっている?

給水加熱器は、再生サイクルの仕組みになっています。

実は、ボイラーで作られる蒸気の1~2割はタービンに送られても仕事をせずに廃棄されてしまうのです。
設備の構造上、すべての蒸気をタービンで使えません。

そのような、仕事をせずに廃棄されてしまう1~2割の蒸気を無駄にせず利用しようとしたのが、給水加熱器の仕組みとなっています。
タービンで仕事をしない1~2割の蒸気を外へ抽気して、ボイラーへ給水する水を加熱するのです。

蒸気を無駄にせず上手に活用しているのです。

タービンで利用された蒸気は、復水器で一度水になって再びボイラーに送られますが、そのとき水の温度が高ければ、ボイラーの効率は高まります。
これは、お湯を沸かすときに冷たい水からお湯を沸かすより、ぬるま湯からお湯を沸かすほうが早く沸騰するのと同じです。

ボイラーへ給水される水を給水加熱器で加熱しておけば、ボイラーの効率は上がります。

設置すると、ボイラーで発生する余分な蒸気を再利用して、ボイラー自体の効率を上げる仕組みになっています。

給水加熱器の種類はいくつある?

低圧加熱給水機と高圧加熱給水機の2種類があります。

低圧給水加熱器とは、復水ポンプから給水ポンプまでの間の低圧の給水を加熱する仕組みです。

高圧給水加熱器とは、給水ポンプから節炭器までの間の高圧の給水を加熱する仕組みです。

発電所の出力によってどちらがよいか検討されて設置されます。

再生サイクルとは?

再生サイクルの仕組みは、蒸気タービンの一部を抽気して、その熱を使って給水加熱器の水を温めます。
給水加熱器の温められた水は、ボイラーに給水される仕組みとなっているのです。

蒸気タービンの仕事をしていない一部の蒸気を抽気して給水用の水の加熱に利用するので、熱効率が上がる仕組みとなっています。

再生サイクルは、「ランキンサイクル」を応用したサイクルです。
ランキンサイクルとは、熱を熱としてそのまま利用せずに、動力や電気に変換するシステムをいいます。

発電所では、ランキンサイクルで熱を電気に変換しています。
このランキンサイクルを応用して、さらに熱効率を上げた仕組みが再生サイクルです。

ランキンサイクルでは、効率を高めるために最初にボイラーの加熱量を上げる必要がありますが負荷が大きくなってしまいます。
そこで、タービンで仕事をしていない蒸気を抽気して、ボイラーへの給水を加熱します。

給水を加熱すると、ボイラーでの加熱量を下げられるので、熱効率が上がる仕組みです。

どんなところで使われている?

給水加熱器は、主に火力発電所で使われています。
現在多くの火力発電所で、再生サイクルが利用されているので、再生サイクルに欠かせない給水加熱器も一緒に使われているのです。

ただし、工事の費用以外にも、定期的な伝熱管の清掃やメンテナンスなどのコストもかかります。
小出力の発電所では、熱効率が上がった分の収益で、初期費用やランニングコストをまかなえない場合があり、設置されないケースもあります。

節炭器と何が違うの?

排ガスでボイラーに給水される水を加熱する熱交換器です。
排ガスの熱量が、ボイラーの損失の大部分を占めるため熱効率をあげるために排ガスを利用して給水の加熱を行う仕組みとなっています。

違いは、給水加熱をするのが節炭器では排ガス、給水加熱器ではタービン蒸気の一部であるところです。

給水を加熱する点では同じですが、給水する水を温める熱源に違いがあります。

どちらもボイラーの熱効率を上げるために、熱を無駄にしないように考えられた仕組みです。

まとめ

今回は給水加熱器について解説しました。

給水加熱器を利用すると、発電所のボイラーの熱効率を上げられるのです。

あまり普段の生活では馴染みのない給水加熱器ですが、多くの火力発電所で使われています。

直接的ではありませんが、発電所で使われている設備なので、私たちの生活にも大きくかかわってきます。
このような設備もあるのだと思って興味を持ってもらえれば幸いです。

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